実家の不動産、どう残す?「生前贈与」と「家族信託」の登記とメリット・デメリット
- 丸山 清孝 司法書士法人やまぐち中央事務所

- 3 日前
- 読了時間: 3分

「自分が元気なうちに、実家を子どもに引き継ぐ準備をしておきたい」
そう考えたとき、不動産を動かすには必ず「登記(とうき)」という手続きが絡んできます。
登記とは、法務局にある帳簿に「この不動産は誰のものか」を記録し、世間に公表する制度のこと。
今回は、「生前贈与」と「家族信託」を取り上げ、それぞれの登記の仕組みとメリット・デメリットを分かりやすく解説します。
1. 生前贈与(生きているうちに完全に譲る)
生前贈与は、親が元気なうちに、子どもや孫へ不動産を無償で完全に譲る方法です。
どんな登記をする?
「所有権移転登記(生前贈与)」を行います。
メリット
名義が完全に親から子へ移るため、以降は子どもが自身の判断で自由に不動産を売却したり、活用したりできるようになります。たとえば、将来親が介護施設に入所する際、子どもが実家を売却し、その売却代金を施設の入所費用に充てるといった柔軟な対応もスムーズに行えます。また、確実に特定の相手へ財産を渡せるのも強みです。
デメリット・注意点(コストが高め)
登記費用や税金の負担が大きくなるのが最大のネックです。登記にかかる「登録免許税」は、亡くなった後の相続(固定資産税評価額の0.4%)に比べ、税率が高く(同 2.0%)設定されています。 さらに「不動産取得税」や、場合によっては高額な「贈与税」がかかるため、事前のシミュレーションが欠かせません。
2. 家族信託(名義と管理だけを任せる)
家族信託は、不動産の名義(管理・処分の権限)だけを信頼できる子どもに託し、そこから得られる利益(家賃収入や、実家に住み続ける権利)は親自身に残す方法です。
どんな登記をする?
「所有権移転および信託登記」を行います。登記簿には「委託者(親)」「受託者(子)」「受益者(親)」それぞれの名前や、信託の目的などが詳細に記録されます。
メリット
親が認知症になっても「実家が凍結(売ることも貸すこともできない状態)」するのを防げます。生前贈与と同様に、子どもが親の代わりに実家を売却し、親の施設費用に充てることが可能です。また、形式的に名義を移すだけなので「贈与税」や「不動産取得税」はかからず、登記の登録免許税も原則0.4%(土地は0.3%)と、生前贈与より大幅にコストを抑えられます。
デメリット・注意点
契約書の作成や登記手続きが非常に複雑で、専門的な知識が必要になるため、初期の専門家報酬などのセットアップ費用がかかります。
📊 「生前贈与」と「家族信託」の比較まとめ
生前贈与 | 家族信託 | |
目的 | 完全に財産を譲りたい・節税したい(※条件による) | 認知症による資産凍結を防ぎたい・管理を任せたい |
登記の種類 | 所有権移転登記 | 所有権移転および信託登記 |
不動産取得税 | かかる | かからない |
登録免許税 | 評価額の 2.0% | 評価額の 0.4%(土地0.3%) |
贈与税 | かかる(※控除制度あり) | かからない |
3. 登記が絡む手続きは直接「司法書士」へ
「結局、我が家の場合はどちらが良いのだろう?」と迷われる方も多いかもしれません。
法律上、他人の依頼を受けて登記手続きを仕事として代行できるのは「司法書士」と「弁護士」のみと厳格に定められています。そのため、コンサルタント会社や行政書士などの他士業にご相談された場合でも、最終的な登記の手続きは私たち司法書士が行うことになります。
そこで、最初に「司法書士」にご相談いただくと、ゴールの登記まで見据えた解決が可能になります。登記って案外複雑なんです。
さらに、生前対策につきものの「税金」の心配事。弊所は信頼できる税理士ともしっかり連携しています。「贈与税はいくらかかるの?」といった税金のご不安から、複雑な登記の手続きまで、ワンストップでサポートさせていただきます。
大切なご実家を、どんな形でご家族に引き継ぐのが一番良いのか。それぞれのご家庭によって正解は違います。「何から手をつければいいか分からない」という状態でも全く問題ありません。まずはお気軽にご相談ください。



