遺言書は「公正証書」で作るべき?自筆との違いや費用、県内の公証役場・手続きガイド
- 司法書士法人・行政書士やまぐち中央事務所

- 12月2日
- 読了時間: 4分
更新日:12月16日
「うちは仲が良いから」が一番危険です
「遺言書なんて、大金持ちが書くものでしょ?」
そう思っていませんか?実は、家庭裁判所で扱われる遺産分割事件の約75%は、遺産額5,000万円以下の一般的なご家庭で起きています。
「実家の分け方で兄弟が揉めた」「長男の嫁が口を出してきて話がまとまらない」
こうした悲劇(争族)を防ぐ唯一の方法が、元気なうちに「遺言書」を残すことです。
本記事では、失敗しない遺言書の作り方と、山口県で手続きを行うための具体的な流れを解説します。
1. 「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の違い(比較表)
遺言書には大きく分けて、自分で書く「自筆証書遺言」と、公証人に作ってもらう「公正証書遺言」があります。
プロの視点から言えば、法的な確実性が高い「公正証書遺言」を強く推奨します。
比較項目 | 自筆証書遺言(自分で書く) | 公正証書遺言(プロが書く) |
作成方法 | 全文自筆(財産目録はPC可) | 公証人が口述筆記で作成 |
費用 | 無料(保管制度利用は3,900円) | 資産額による(数万円〜) |
無効リスク | あり(日付漏れ、押印忘れ等) | なし(公証人が作成するため確実) |
紛失・改ざん | あり(自宅保管の場合) | なし(公証役場で原本保管) |
死後の手続き | 「検認」が必要(数ヶ月かかる)※ | 「検認」不要(すぐに手続き可) |
※法務局の保管制度を利用した場合は検認不要。
結論: 費用はかかりますが、「確実に家族に想いを残す」なら公正証書遺言一択です。
「せっかく書いたのに、形式不備で無効になった」というケースが後を絶たないからです。
2. コストを抑えたいなら「自筆証書遺言書保管制度」
「どうしても費用をかけたくない」という方には、2020年から始まった「法務局での保管制度」をおすすめします。
メリット: 手数料が3,900円と安く、法務局で形式チェックを受けられるため無効リスクが減ります。また、紛失の心配もありません。
注意点: 内容の法的妥当性(これで揉めないか?)まではアドバイスしてくれません。中身の相談は司法書士にお任せください。
3. 公正証書遺言を作成する流れ(山口県版)
公正証書遺言を作るには、「証人2名」の立会いと、公証役場での手続きが必要です。
必要書類の収集:
ご本人の印鑑証明書(3ヶ月以内)、戸籍謄本。
財産をもらう人(受遺者)の住民票や戸籍謄本。
不動産の「登記事項証明書」と「固定資産評価証明書」(市役所で取得)。
公証人との事前打ち合わせ:
お近くの公証役場へ行き(または電話)、遺言の内容を伝えて文案を作ってもらいます。
証人2名の手配:
注意: 推定相続人(子供など)やその配偶者は証人になれません。
★当事務所のサポート: 司法書士やスタッフが証人として立ち会うことが可能です。
作成当日:
公証役場へ出向き、内容を確認して署名・実印を押印します。
4. 山口県内の公証役場リスト(どこに行けばいい?)
山口県内には6つの公証役場があります。住所地に関係なく、県内どこの役場でも作成可能です。
※防府市や長門市、美祢市には公証役場がないため、近隣の役場へ行く必要があります。
エリア | 公証役場名 | 所在地 |
山口・防府エリア | 山口公証役場 | 山口市黄金町3-5(防府の方はここが最寄り) |
周南・下松エリア | 徳山公証役場 | 周南市御幸通2-12 |
萩・長門エリア | 萩公証役場 | 萩市瓦町16 |
岩国・柳井エリア | 岩国公証役場 | 岩国市山手町1-16-10 |
下関エリア | 下関唐戸公証役場 | 下関市中之町6-4 |
宇部・小野田エリア | 宇部公証役場 | 宇部市寿町3-8-21 |
「足が悪くて役場まで行けない」という場合は、公証人に自宅や病院まで出張してもらうことも可能です(別途日当・交通費が必要)。
遺言書は「家族への最後のラブレター」
遺言書作成は、決して死ぬ準備ではありません。残された家族が仲良く暮らせるようにするための、人生最後の「家族孝行」です。
「何を書けばいいかわからない」「証人がいない」
そんな時は、やまぐち中央事務所にご相談ください。文案の作成から証人の立会いまで、トータルでサポートいたします。


