中小企業の事業承継は「2026年3月」がタイムリミット?自社株の税金ゼロ対策と、後継者への株式承継法
- 司法書士法人・行政書士やまぐち中央事務所

- 12月2日
- 読了時間: 4分
更新日:12月16日
山口県の社長の半数以上が「後継者不在」です
「うちはまだ元気だから」と思っていても、引退の時期は確実に近づいてきます。
帝国データバンクの2024年の調査によると、山口県内企業の「後継者不在率」は56.4%。改善傾向にはあるものの、依然として半数以上の企業で後継者が決まっていません。
事業承継で最大のハードルとなるのが、「自社株の評価額が高すぎて、贈与税・相続税が払えない」という問題です。
この問題を解決する国の「特例措置」には、絶対に逃してはならない「期限」があることをご存知でしょうか?
本記事では、山口県の経営者が知っておくべき事業承継のタイムリミットと、自社株をスムーズに引き継ぐための法的手法を解説します。
1. 【緊急】事業承継税制の「特例承継計画」提出は2026年3月まで!
後継者が自社株を引き継ぐ際、本来なら多額の現金(税金)が必要になりますが、これを実質ゼロ(100%納税猶予)にできる強力な制度が「法人版事業承継税制の特例措置」です。
しかし、この特例を受けるためには、以下の期限を守る必要があります。
ステップ1(絶対期限):
2026年(令和8年)3月31日までに、山口県庁へ「特例承継計画」を提出する。
※この日までに計画を出しておかないと、特例措置(税金ゼロ)を使う権利自体が消滅します。
ステップ2:
2027年(令和9年)12月31日までに、実際に株式を贈与・相続する。
専門家からの警告:
「2026年ならまだ先だ」と思わないでください。計画書の作成には認定支援機関(税理士や司法書士等)の指導が必要で、準備に数ヶ月かかります。今すぐに動き出さなければ間に合いません。
2. 「自社株」を渡す3つの方法と、司法書士の裏ワザ
株式の承継方法は主に3つあります。
生前贈与:
元気なうちに後継者に株を渡す。税制の特例を使えば贈与税は猶予されます。後継者に早く経営権(議決権)を移せるメリットがあります。
相続(遺言):
社長が亡くなった時に渡す。突然の相続発生で株が分散し、会社の意思決定ができなくなるリスクがあるため、「遺言書」での指定が必須です。
種類株式(黄金株・無議決権株)の活用:
これが司法書士ならではの提案です。
悩み: 「長男に会社を継がせたいが、次男にも財産(株)を渡さないと不公平だ。でも次男に経営に口出しされたくない。」
解決策: 次男には配当はもらえるが議決権のない「無議決権株式」を発行し、長男には拒否権付きの「黄金株」を持たせるなど、定款を変更して登記することで、「お金(株の価値)」と「経営権」を切り分けて渡すことが可能です。
3. 後継者がいない場合は?(M&A・第三者承継)
親族や社内に後継者がいない場合、廃業を選ぶ前に「M&A(第三者への譲渡)」を検討してください。
「身売り」というネガティブなイメージではなく、従業員の雇用を守り、創業者利益(退職金や株の売却益)を手にする「前向きな出口戦略」です。
山口県事業承継・引継ぎ支援センター:
国が設置した公的な相談窓口(山口市小郡)で、M&Aのマッチング支援を無料〜低廉な費用で受けられます。
当事務所でも、M&Aに伴う法務デューデリジェンス(法的リスク調査)や契約書作成をサポートしています。
4. 山口県内の事業承継・相談窓口リスト
事業承継は「税金」だけでなく「法務(登記・定款)」の手続きが複雑に絡み合います。まずは専門家や公的機関へ相談しましょう。
相談先・提出先 | 所在地・役割 |
特例承継計画の提出先 | 山口県 産業労働部 経営金融課 (山口市滝町1-1 県庁内) |
M&A・後継者探しの相談 | 山口県事業承継・引継ぎ支援センター (山口市小郡黄金町/やまぐち産業振興財団内) |
金融面・計画策定の相談 | 山口銀行・西京銀行 各行とも事業承継コンサルティングやM&A支援に注力しています。 |
会社の未来を決めるのは「今」です
2026年3月の計画提出期限を過ぎると、税制優遇を受けられなくなり、数千万円〜数億円単位の税負担が発生する可能性があります。
「自社株の評価額はいくらか?」「種類株式で経営権を守れるか?」
手遅れになる前に、やまぐち中央事務所の無料診断をご活用ください。経営者様と会社の未来を守る最適なプランをご提案します。



