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「財産は全部お前にやる」兄の言葉を信じていい?口約束の不安を「公正証書遺言」で解消した事例(A様)【解決事例】

更新日:12月16日

▼ この事例のポイント(1分で分かります)

  • 相談者:A様(親の財産管理をしている長女)

  • お悩み:遠方の兄が口頭で「遺産はいらない」と言っているが、書面がなく、将来気が変わらないか不安。また、父の記憶力が低下しており、遺言が作れるか心配。

  • 解決策:「公正証書遺言」を作成し、法的な拘束力を確保。父の判断能力については、医師の診断書と公証人の面談でクリア。

  • 結果:口約束だけだった兄との関係に法的な裏付けができ、将来の「争族」リスクをゼロにしました。


1. ご相談の背景:介護をする私と、遠方に住む兄

今回ご相談いただいたのは、高齢のご両親のケアをされているAさん(仮名)。

Aさんは現在、お父様の預金1,000万円をご両親の生活費として管理し、実家の不動産についても将来のことを心配されていました。

相続人はAさんと、遠方に住むお兄様の2人。「実家のことも任せているし、親の財産は全てAがもらっていいよ」とお兄様は口では言ってくれていますが、あくまで口約束。法的な書面は何一つない状態でした。


2. 直面していた不安:「もしも」の時に兄の意見が変わったら?

Aさんには、どうしても拭えない2つの不安がありました。

  • ① 口約束の効力今は「全部あげる」と言っている兄ですが、いざ相続が発生した時(数年後、数十年後)に、配偶者の意見などで考えが変わる可能性があります。もし遺言がないと、法定相続分として兄にも半分の権利が発生してしまいます。

  • ② 父の判断能力お父様はご高齢で、少し判断能力に波がありました。「遺言を書きたいけれど、そもそも今の父に法的に有効な遺言が書けるのだろうか?」という懸念がありました。


3. 司法書士からの提案:口約束を「公正証書」で確定させる

Aさんの不安を解消するため、当事務所では以下のプランをご提案しました。

  • ① 公正証書遺言の作成自筆の遺言ではなく、公証人が作成する「公正証書」を選択。これにより、兄の同意がなくても、お父様の意思として「全ての財産をAさんに相続させる」ことを法的に確定させます。

  • ② 医師の診断書による能力担保お父様の判断能力が微妙なラインであったため、後から「認知症で無効だ」と言われないよう、念のため医師の診断書を取得し、公証人にも事前に面談してもらう段取りを組みました。


4. 実際の手続き:診断書と面談でハードルをクリア

まずAさんがお父様と面会して意思を確認し、その後、提携の司法書士が面談を行いました。

幸い、お父様は「Aに任せたい」という明確な意思をお持ちで、医師の診断書(公証人定型)も問題なく取得できました。

結果、公証役場にて無事に公正証書遺言が完成。「これで兄の言葉が変わっても大丈夫」と、Aさんは深く安心されました。


【参考費用】

今回のケースでは、司法書士報酬約20万円(税別)+公証人手数料にてサポートさせていただきました。

※財産額や複雑さにより異なります。


5. 専門家の視点:なぜ「今」やる必要があったのか
  • 「口約束」は相続では無力です遺産分割協議において「生前に譲ると言っていた」という主張は、証拠がない限り通りません。家族仲が良い今のうちに形にしておくことが、将来の家族関係を守ります。

  • 判断能力は「待ったなし」認知症が進行し、完全に判断能力がなくなると、遺言書は二度と作れなくなります(成年後見制度の利用が必要になります)。「少し怪しいかな?」と思った時が、対策のラストチャンスです。


<円満な今のうちに「法的な裏付け」を>

「うちは兄弟仲が良いから大丈夫」と思っていても、相続発生時にはそれぞれの配偶者の意見や経済状況が絡み、トラブルに発展することが多々あります。

親御さんがお元気なうちに、あるいは判断能力があるうちに、確実な対策をしておくことが、子供世代の責任とも言えます。


▼ 山口県で「親の遺言・認知症対策」をお考えの方へ

「親が認知症気味だけど、まだ間に合う?」「兄弟と揉めないようにしたい」など、具体的な状況に合わせてアドバイスいたします。まずは無料相談をご利用ください。




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