疎遠な親族より、支えてくれた隣人に財産を遺したい…80代男性が選んだ「公正証書遺言」という選択【解決事例】
- 福田 修平

- 12月1日
- 読了時間: 3分
更新日:12月16日
▼ この事例のポイント(1分で分かります)
相談者:山口市在住 B様(80代男性・独居)
お悩み:身寄りがなく、何十年も会っていない親族ではなく、家族同然の隣人Aさんに全財産を譲りたい。
解決策:「公正証書遺言」を作成し、「付言事項(ふげんじこう)」で親族への配慮とAさんへの感謝を明記。
結果:法的なトラブルを予防し、「最後に信じられる人に託せた」という心の安心を実現しました。
1. ご相談の背景:血縁よりも濃い「隣人」との絆
今回ご相談いただいたのは、Bさん(仮名)。80代の高齢者で、現在は一人暮らしをされています。配偶者とは死別しており、お子さまもいらっしゃいません。
一方で、Bさんの日常生活は、親族とは別の立場で長年親身になって寄り添ってくれている隣人のAさん(仮名)に大きく支えられていました。(…中略…)
2. 直面していた不安:「会ったこともない親族」に財産が渡る?
Bさんは、「もしものとき」自分の財産がどうなるか不安を感じていました。
特に、法定相続人となりうる親族とはほとんど交流がなく、連絡先さえ不明な方も含まれていました。「数十年連絡を取っていない親族に財産が渡ることに違和感がある。Aさんに感謝を形にしたい」というのがBさんの切実な願いでした。
3. 司法書士からの提案:想いを確実に実現する3つの対策
このようなBさんの想いを受けて、当事務所では以下の対策を提案しました。
① 公正証書遺言の作成自筆証書遺言(自分で書く遺言)は、書き間違いによる無効や、紛失のリスクがあります。確実にAさんに財産を渡すため、公証役場で作成する「公正証書遺言」を選択しました。
② 「付言事項(ふげんじこう)」の活用単に「財産をやる」と書くだけでは、親族から不満が出る可能性があります。そこで、「なぜAさんに遺すのか」「親族へのメッセージ」を記す「付言事項」を活用しました。
③ 予備的遺言・葬儀の指定万が一Aさんが先に亡くなった場合の予備的な宛先や、葬儀の取り決めも明記し、死後の混乱を徹底的に防ぐ設計にしました。
4. 実際の「付言事項」:涙が出るほどの感謝の言葉
【遺言書に記されたB様のメッセージ(抜粋)】
「亡き兄に生前なにも恩返しできなかったことを今でも悔やんでいます。…
Aさん、あなたがそばにいてくれたおかげで、私は安心してこの晩年を過ごせました。…
これまでの人生は平坦ではありませんでしたが、最後に信じられる人と出会えたことに、感謝の気持ちでいっぱいです。」
5. 専門家の視点:他人への遺贈(いぞう)を成功させるコツ
付言事項の活用は、争いを未然に防ぐ心理的効果がある
「予備的遺贈」や費用配慮の記載は実務的な混乱を防ぐ
「人に託す」遺言が増えている
遺言書は「人生最後のラブレター」です。
この事例のように、遺言書は単なる手続きではなく、お世話になった方へ想いを伝える手段でもあります。
特に「おひとりさま」や「疎遠な親族がいる」場合は、法的な準備がないと想いが叶わないばかりか、大切な人に迷惑をかけてしまうこともあります。
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