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「母さんの介護は私任せだったのに…」音信不通の兄には渡したくない!90代母が娘のために残した「公正証書遺言」【解決事例】

更新日:12月16日

▼ この事例のポイント(1分で分かります)

  • 相談者:A様(90代女性)と、同居して介護を続ける長女B様。

  • お悩み:長男は数十年音信不通で、母の介護も一切していない。しかし、母が亡くなれば長男にも相続権が発生してしまう。「長女Bに全財産を譲りたいが、後で長男が揉めてこないか心配」。

  • 解決策:「公正証書遺言」を作成し、全財産を長女へ。さらに「付言事項」で、なぜ長女に譲るのか(介護への感謝)と、長男へのメッセージを明記。

  • 結果:法的に「長女への相続」を確定させると同時に、長男からの不満を封じるための心理的な対策も完了しました。


1. ご相談の背景:30年間、一度も顔を見せない長男

今回のご相談は、90代のお母様(A様)と、その長女(B様)からです。

A様は耳が遠くなられていましたが、判断能力はしっかりされており、長女B様と孫のC様(B様の息子)と同居し、献身的な介護を受けながら穏やかに暮らしていました。

しかし、A様には一つだけ心残りがありました。それは、何十年も音信不通になっている長男(D様)の存在です。


2. 直面していた不安:このままだと「遺産分割協議」ができない

もし遺言書がないままA様が亡くなると、相続人は「長女B様」と「長男D様」の2人になります。

不動産の名義変更や預金の解約には、相続人全員の実印と印鑑証明書が必要です。

「母の葬儀にも来ないかもしれない兄と、連絡を取ってハンコをもらうなんて絶対に無理…」

長女B様は、手続きがストップしてしまうこと、そして何より「介護を全くしなかった兄が、権利だけ主張してくること」を恐れていました。


3. 司法書士からの提案:遺言で「話し合い」を不要にする

A様の「ずっと支えてくれたBに全てを遺したい」という強い想いを実現するため、当事務所は以下の対策を実行しました。

  • ① 公正証書遺言の作成「全財産を長女Bに相続させる」と明記することで、長男D様との遺産分割協議を不要にしました。

  • ② 予備的遺言(もしもの備え)万が一、長女B様が先に亡くなった場合に備え、「その場合は孫のCに遺贈する」という条項も追加しました。

  • ③ 遺言執行者の指定手続きを行う人(執行者)として孫のC様を指定。これにより、長男D様に関与してもらうことなく、C様だけで預金解約や登記ができるようにしました。


4. 決定的な一手:「付言事項」で想いを伝える

法的な排除だけでは、後で長男D様から「遺留分(最低限の取り分)」を請求されるリスクが残ります。

そこで、遺言書の最後に「付言事項(ふげんじこう)」として、A様の肉声を残しました。


【付言事項(要約)】

「Dへ。長い間会っていませんが、元気でやっていますか。

私は、BとCに最期まで面倒を見てもらい、本当に幸せでした。

家と預金は、私の介護をしてくれたBに譲ります。どうか不満を言わず、姉弟仲良く、それぞれの人生を歩んでください。」

これは法的な強制力はありませんが、裁判になった際に「被相続人の真意」として重視されることがあり、何より長男D様の感情を鎮める効果が期待できます。


5. 専門家の視点:介護の苦労は「遺言」でしか報われない

日本の法律では、どれだけ親身に介護をしても、相続分は「何もしなかった兄弟」と同じです。

介護をしてくれた子供に報いるためには、親御さんが元気なうちに「遺言」という形で意思表示をする以外に方法はありません。


感謝の気持ちは「形」にして初めて伝わります。

「言わなくても分かってくれるはず」は、相続では通用しません。大切なご家族が、あなたの死後に争わなくて済むよう、法的なラブレター(遺言)を残しませんか?


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