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「母の物忘れが急にひどくなって…」認知症による口座凍結を防ぐため、施設入所直前に「家族信託」を決断した事例【解決事例】

更新日:12月16日

▼ この事例のポイント(1分で分かります)

  • 相談者:A様(53歳女性・長女)

  • お悩み:82歳で一人暮らしの母の物忘れが悪化(財布の紛失など)。施設入所を検討しているが、母の預金が凍結して入所費用が払えなくなるのが心配。

  • 解決策:成年後見制度ではなく、柔軟な財産管理ができる「家族信託」を選択。母の預金を長女が管理できる仕組みを作成。

  • 結果:信託契約の直後に母の認知症が急速に進行したが、凍結を回避し、スムーズに施設費用の支払いを継続できています。


1. ご相談の背景:お財布をなくす母、迫る施設入所の決断

今回ご相談に来られたのは、50代の長女A様とご主人です。

対象となるお母様(82歳)は一人暮らしをされていましたが、最近になって「不要な物を大量に買う」「財布を頻繁になくす」といった行動が目立つようになり、物忘れが急速に進んでいました。

「もう一人暮らしは限界かもしれない」――ご家族は施設への入所を検討し始めましたが、そこで大きな壁にぶつかりました。


2. 直面していた不安:「成年後見」しか方法はないの?

施設に入るには、まとまった入居一時金や月々の費用が必要です。それらは当然、お母様の預金から支払う予定でした。しかし、もし入所手続きの最中に認知症が進行し、「意思能力がない」と銀行に判断されてしまうと、口座が凍結されてしまいます。

一般的には「成年後見制度」を利用することになりますが、A様は「手続きが煩雑で、家庭裁判所の監督下に置かれることや、専門家への報酬がずっと発生すること」に負担を感じ、他の方法を探されていました。


3. 司法書士からの提案:親のお金を子が守る「家族信託」

そこで当事務所は、後見制度に代わる選択肢として「家族信託(かぞくしんたく)」をご提案しました。

  • 仕組み:お母様(委託者)の預金を、信頼できる長女A様(受託者)に託し、管理権限だけを移します。

  • メリット:家庭裁判所の関与がなく、家族だけで柔軟にお金の出し入れができます。

  • もしもの備え:もし長女A様に何かあった場合に備え、予備の管理者としてA様の夫(B様)を指定しました。


4. 実行結果:ギリギリのタイミングでの「契約完了」

ご家族(長女A様、次女C様)の仲が非常に良かったこともあり、スムーズに合意形成ができ、公証役場にて信託契約を締結。信託専用の口座を作ることができました。

そして、その直後のことでした。

契約から半年後にお会いした際、A様はこう仰いました。

「実はあれから、母の認知症が一気に進んでしまって…。もしあの時、家族信託をしていなかったら、今頃は口座が凍結して何もできなくなっていたと思います。本当にギリギリでしたが、助かりました」


5. 専門家の視点:認知症対策は「時間との戦い」

家族信託は、ご本人に「判断能力があるうち」にしか契約できません。

今回の事例のように、高齢の方の体調や認知機能は、ある日突然ガクンと低下することがあります。「まだ大丈夫だろう」と思っているうちに手遅れになるケースも少なくありません。

「少し様子がおかしいな」と感じたその時が、対策を始める唯一のタイミングです。


<親の財産を守れるのは、家族の「早めの行動」だけ>

認知症になってからでは、打てる手は限られてしまいます。家族信託は、元気なうちに準備することで、親御さんの資産と生活を、家族の手で守り抜くための強力なツールです。


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