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「田舎の土地、誰もいらない…」負動産の押し付け合いを防ぐ!負担を引き受ける相続人に「現金」を多く残す遺言テクニック【解決事例】

更新日:12月16日

▼ この事例のポイント(1分で分かります)

  • 相談者:甲様(76歳男性・妻と子2人)

  • お悩み:自宅の他に、売れない実家・田畑・山林(いわゆる負動産)があり、子供たちが相続を嫌がって揉めるのが心配。

  • 解決策:土地を国に返す制度も検討したが、最終的に「公正証書遺言」を作成。

  • 結果:負動産を引き受けてくれる長女に対し、「管理費相当分として現金を多く相続させる」ことで不公平感を解消し、円満な合意形成を実現しました。


1. ご相談の背景:平和な家族を脅かす「負動産」の存在

今回ご相談に来られたのは、76歳の甲様。奥様と、独立された長男・長女がいらっしゃいます。

ご家族仲は非常に良好でしたが、甲様には一つだけ気がかりなことがありました。それは、地方に相続した「ご実家、田畑、山林」の存在です。

これらは立地的に売却や賃貸が難しく、持っているだけで固定資産税や管理費がかかる、いわゆる「負動産(ふどうさん)」となっていました。


2. 直面していた不安:このままだと「いらない土地」の押し付け合いになる

「空き家になった実家は老朽化し、近隣からクレームが来るかもしれない」「毎年税金だけが出ていく…」

甲様は、このまま自分が亡くなったら、子供たちの間で「お兄ちゃんが継いでよ」「私は絶対いらない」といった押し付け合い(争族)が起きることを深く懸念されていました。


3. 司法書士からの提案:国に返すか?家族でバランスを取るか?

当事務所では、まず不動産の状況を調査し、2つの選択肢をご提案しました。

  • 案①:相続土地国庫帰属制度(国に引き取ってもらう)「いらない土地を国が引き取る」新しい制度です。しかし、審査には手数料や負担金(1筆20万円〜)がかかる上、建物がある土地は対象外など条件が厳しく、今回は断念しました。

  • 案②:遺言で「アメとムチ」を使い分ける特定の相続人に「負動産(ムチ)」をお願いする代わりに、「預貯金(アメ)」を多く渡すことでバランスを取る方法です。


4. 解決方法:長女が土地を継ぎ、その分現金を多く受け取る

シミュレーションの結果、ご実家の近くにお住まいの長女B様が負動産を相続することになりました。その代わり、将来の管理費や解体費の負担を考慮し、甲様の預貯金(約1,000万円)の大部分をB様が相続するというプランで合意しました。

これを確実に実行するため、「公正証書遺言」を作成。「なぜBに現金を多く渡すのか(土地の負担があるから)」という理由を付言事項に明記し、長男様にも納得していただきました。


5. 専門家の視点:負動産は「放置」が一番のリスク

「売れない土地」は、放置すればするほど管理責任が重くなり、子供や孫の代まで祟ります。

売却が難しい場合でも、今回のように「金融資産とセットで相続させる」ことで、解決できるケースは多々あります。諦めずに、元気なうちに方向性を決めておくことが重要です。


マイナス財産こそ、生前の「割り振り」が必要です。

プラスの財産は放っておいても分けられますが、マイナスの財産(負動産)は誰も欲しがらないため、親御さんが責任を持って「誰が引き受けるか・その対価はどうするか」を決めておく必要があります。


▼ 山口県で「いらない土地・空き家」の相続対策をお考えの方へ

「うちは国庫帰属制度を使える?」「放棄したほうがいい?」など、不動産の状況に合わせて最適なプランをご提案します。まずは無料相談をご利用ください。




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