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遠方の空き家をどうする?認知症になった後の不動産売却と成年後見制度【解決事例】



▼ この事例のポイント(1分で分かります)


  • ご相談者:70代女性(甲様・精神疾患により判断能力が低下し精神科病院に入院中)


  • お悩み遠方に所有する土地・建物が空き家となっており、災害時の対応や維持管理の負担が課題。しかし、ご本人の判断能力が低下しているため、ご自身での財産管理や売却の手続きが難しい状況。


  • 解決策:当事務所が「成年後見人」に就任。「遠方の空き家を維持する負担や災害リスク」という売却の必要性を整理し、疎遠なご家族への事前説明や、複数業者による適正な査定を行った上で、家庭裁判所へ不動産の売却許可申立てを実施。


  • 結果:家庭裁判所から不動産売却に関する理解を得ることができ、無事に売却に向けた手続きを進めることができた。また本事例を通じ、判断能力が低下する前に任意後見や家族信託などを検討しておく「生前対策」の大切さが示された。


ご相談の背景・お悩み


 甲さんは70代の女性です。 精神疾患により判断能力が低下し、精神科病院に入院されていたため、ご本人による財産管理や重要な契約・財産処分について判断することが難しい状況でした。


 そこで、当事務所が成年後見人として就任しました。 財産を確認したところ、現在生活されている地域から遠く離れた場所に土地・建物を所有されていることが分かりました。 不動産は空き家となっており、今後も所有し続ける場合には、建物や敷地の管理が必要となります。 特に、台風などの災害が発生した際、山口県から遠方の空き家へすぐに駆けつけることは容易ではありません。 そこで、甲さんの今後の生活や財産管理を考え、この不動産を売却することについて検討することになりました。




当事務所の対応

  成年後見人に就任したからといって、本人の不動産を自由に売却できるわけではありません。 本人の居住用不動産を売却する場合には、家庭裁判所の許可が必要です。

 

 そこで、まず家庭裁判所に対して、 「なぜ、この不動産を売却する必要があるのか」 を説明する必要がありました。 甲さんには一定の預貯金があったため、「売却代金が生活費や入院費に必要だから」という理由だけでは十分ではありません。 そこで、遠方にある空き家を維持・管理する負担や、災害時に迅速な対応が難しいことなど、所有し続けることによる具体的な問題を整理して説明しました。

  また、疎遠となっている息子さんにも事情を説明し、不動産の売却について確認しました。 さらに、売却することが認められたとしても、本人の財産を適正な価格で売却する必要があります。 そのため、複数の不動産業者に査定を依頼し、査定書を取得するなど、売却価格の相当性を確認できる資料も準備しました。


 このように、成年後見人による不動産売却では、


 ①売却する必要性

 ②本人にとっての利益

 ③ご家族への説明

 ④売却価格の相当性


 などを一つずつ検討する必要があります。



実行結果


 甲さんの財産状況や生活状況、遠方の空き家の管理状況を整理し、家庭裁判所に対して不動産を売却する必要性を説明しました。 また、息子さんへの確認や複数の不動産業者による査定も行い、売却価格の相当性についても資料を準備しました。 その結果、家庭裁判所からも不動産売却の方向性について理解を得ることができ、売却に向けた手続きを進めることができました。



ポイント ―「元気なうちに決めておく」という生前対策


 今回のように、判断能力が低下した後に不動産を処分しようとすると、成年後見制度を利用し、家庭裁判所の許可を得るなど、さまざまな手続きが必要になります。


  一方、本人が元気で判断能力が十分にある段階であれば、


 「この不動産を将来どうしたいのか」

 「誰に管理を任せたいのか」

 「売却する場合はどうしたいのか」


  といったことを、ご本人自身で決めておくことができます

まとめ

 将来の判断能力の低下に備えて、任意後見や家族信託を検討したり、相続について遺言書を作成したりすることも、生前対策の一つです。 どの方法が適しているかは、ご本人の財産状況や家族関係、希望によって異なります。 だからこそ、「判断能力が低下してから考える」のではなく、元気なうちに将来の財産管理について考えておくことが大切です。





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